言語処理100本ノック 第2章: UNIXコマンドの基礎
はじめに
今回は言語処理100本ノック 第2章: UNIXコマンドの基礎です。
これまでの
第2章: UNIXコマンドの基礎
Python 3.7.0
でやっていきます。
問題の解釈違い、間違い等ありましたら、教えていただけると幸いです。
10. 行数のカウント
問題
行数をカウントせよ.確認にはwcコマンドを用いよ.
解答&出力
with open("hightemp.txt") as f: n = 0 for line in f: n += 1 print(n)
24
ひとこと
readlines
で全体を取得してlen
でも良かったのですが、hightemp.txt
がとてつもなく大きいファイルだったときのために敢えて1行ずつループしてカウントしてみました。
特に意味のない配慮です。
11. タブをスペースに置換
問題
タブ1文字につきスペース1文字に置換せよ.確認にはsedコマンド,trコマンド,もしくはexpandコマンドを用いよ.
解答&出力
with open("hightemp.txt") as f: for line in f: print(line.replace("\t", " "), end="")
11の実行結果
高知県 江川崎 41 2013-08-12 埼玉県 熊谷 40.9 2007-08-16 岐阜県 多治見 40.9 2007-08-16 山形県 山形 40.8 1933-07-25 山梨県 甲府 40.7 2013-08-10 和歌山県 かつらぎ 40.6 1994-08-08 静岡県 天竜 40.6 1994-08-04 山梨県 勝沼 40.5 2013-08-10 埼玉県 越谷 40.4 2007-08-16 群馬県 館林 40.3 2007-08-16 群馬県 上里見 40.3 1998-07-04 愛知県 愛西 40.3 1994-08-05 千葉県 牛久 40.2 2004-07-20 静岡県 佐久間 40.2 2001-07-24 愛媛県 宇和島 40.2 1927-07-22 山形県 酒田 40.1 1978-08-03 岐阜県 美濃 40 2007-08-16 群馬県 前橋 40 2001-07-24 千葉県 茂原 39.9 2013-08-11 埼玉県 鳩山 39.9 1997-07-05 大阪府 豊中 39.9 1994-08-08 山梨県 大月 39.9 1990-07-19 山形県 鶴岡 39.9 1978-08-03 愛知県 名古屋 39.9 1942-08-02
ひとこと
全行一気にやる方法もあるかと思いますが、今回は1行ずつやっています。
line.strip().replace("\t", " ")
として普通にprint
しても良いと思います。
が、行末にタブがあった場合にstrip
してしまうと除去されてしまうので、厳密には問題と異なってくるかなと思い、解答のように実装しました。
章始めに「タブ区切り形式で格納したファイル」とあり、そういうことも有り得ないので、特に意味のない配慮です。
12. 1列目をcol1.txtに,2列目をcol2.txtに保存
問題
各行の1列目だけを抜き出したものをcol1.txtに,2列目だけを抜き出したものをcol2.txtとしてファイルに保存せよ.確認にはcutコマンドを用いよ.
解答&出力
with open("hightemp.txt") as f, open("col1.txt", "w") as f_col1, open("col2.txt", "w") as f_col2: for line in f: col1, col2, *_ = line.strip().split("\t") f_col1.write(col1 + "\n") f_col2.write(col2 + "\n")
12の実行結果
> cat col1.txt 高知県 埼玉県 岐阜県 山形県 山梨県 和歌山県 静岡県 山梨県 埼玉県 群馬県 群馬県 愛知県 千葉県 静岡県 愛媛県 山形県 岐阜県 群馬県 千葉県 埼玉県 大阪府 山梨県 山形県 愛知県 > cat col2.txt 江川崎 熊谷 多治見 山形 甲府 かつらぎ 天竜 勝沼 越谷 館林 上里見 愛西 牛久 佐久間 宇和島 酒田 美濃 前橋 茂原 鳩山 豊中 大月 鶴岡 名古屋
ひとこと
with構文で一気にファイルを開いて、split
でカラム毎に分割し、それぞれをファイル出力しているだけです。
13. col1.txtとcol2.txtをマージ
問題
12で作ったcol1.txtとcol2.txtを結合し,元のファイルの1列目と2列目をタブ区切りで並べたテキストファイルを作成せよ.確認にはpasteコマンドを用いよ.
解答&出力
with open("col1.txt") as f_col1, open("col2.txt") as f_col2, open("col1_and_col2.txt", "w") as f: for col1, col2 in zip(f_col1, f_col2): f.write(f"{col1.strip()}\t{col2.strip()}\n")
13の実行結果
> cat col1_and_col2.txt 高知県 江川崎 埼玉県 熊谷 岐阜県 多治見 山形県 山形 山梨県 甲府 和歌山県 かつらぎ 静岡県 天竜 山梨県 勝沼 埼玉県 越谷 群馬県 館林 群馬県 上里見 愛知県 愛西 千葉県 牛久 静岡県 佐久間 愛媛県 宇和島 山形県 酒田 岐阜県 美濃 群馬県 前橋 千葉県 茂原 埼玉県 鳩山 大阪府 豊中 山梨県 大月 山形県 鶴岡 愛知県 名古屋
ひとこと
これまた、with構文で一気にファイルを開いて、それぞれのカラムをf-stringで文字列化して、ファイル出力しているだけです。
14. 先頭からN行を出力
問題
自然数Nをコマンドライン引数などの手段で受け取り,入力のうち先頭のN行だけを表示せよ.確認にはheadコマンドを用いよ.
解答&出力
N = int(input()) with open("hightemp.txt") as f: for _, line in zip(range(N), f): print(line.strip())
3 高知県 江川崎 41 2013-08-12 埼玉県 熊谷 40.9 2007-08-16 岐阜県 多治見 40.9 2007-08-16
ひとこと
自然数Nは標準入力で受け取るようにしました。
readlines
で全てをリストとして取得して、stop
指定で出力しても良かったのですが、hightemp.txt
がとてつもなく大きいファイルだったときのために(略)
15. 末尾のN行を出力
問題
自然数Nをコマンドライン引数などの手段で受け取り,入力のうち末尾のN行だけを表示せよ.確認にはtailコマンドを用いよ.
解答&出力
N = int(input()) with open("hightemp.txt") as f: result = f.readlines()[-N:] print("\n".join([r.strip() for r in result]))
3 山梨県 大月 39.9 1990-07-19 山形県 鶴岡 39.9 1978-08-03 愛知県 名古屋 39.9 1942-08-02
ひとこと
自然数Nは標準入力で受け取るようにしました。
今回は特に無駄な配慮もなく、readlines
で全てをリストとして取得して、start
のマイナス指定で最後のN行だけを出力するようにしました。
16. ファイルをN分割する
問題
自然数Nをコマンドライン引数などの手段で受け取り,入力のファイルを行単位でN分割せよ.同様の処理をsplitコマンドで実現せよ.
解答&出力
N = int(input()) with open("hightemp.txt") as f: lines = f.readlines() n = (len(lines) + N - 1) // N split_list = [lines[i * n:(i + 1) * n] for i in range(N)] print("\n".join(["".join(x) for x in split_list]))
16の実行結果
5 高知県 江川崎 41 2013-08-12 埼玉県 熊谷 40.9 2007-08-16 岐阜県 多治見 40.9 2007-08-16 山形県 山形 40.8 1933-07-25 山梨県 甲府 40.7 2013-08-10 和歌山県 かつらぎ 40.6 1994-08-08 静岡県 天竜 40.6 1994-08-04 山梨県 勝沼 40.5 2013-08-10 埼玉県 越谷 40.4 2007-08-16 群馬県 館林 40.3 2007-08-16 群馬県 上里見 40.3 1998-07-04 愛知県 愛西 40.3 1994-08-05 千葉県 牛久 40.2 2004-07-20 静岡県 佐久間 40.2 2001-07-24 愛媛県 宇和島 40.2 1927-07-22 山形県 酒田 40.1 1978-08-03 岐阜県 美濃 40 2007-08-16 群馬県 前橋 40 2001-07-24 千葉県 茂原 39.9 2013-08-11 埼玉県 鳩山 39.9 1997-07-05 大阪府 豊中 39.9 1994-08-08 山梨県 大月 39.9 1990-07-19 山形県 鶴岡 39.9 1978-08-03 愛知県 名古屋 39.9 1942-08-02
ひとこと
自然数Nは標準入力で受け取るようにしました。
ファイル出力の指定ではなかったので空行区切りの標準出力にしました。
(len(lines) + N - 1) // N
でひとつの区切りが何行になるかを計算しています。
これは、math.ceil(len(lines) // N)
やlen(lines) // N if len(lines) % N == 0 else len(lines) // N + 1
と同じ処理で、簡単に書く方法です。
あとから気づいた(教えていただいた)ことですが、問題文としてはファイルをN分割と読めるものの、split
コマンドはファイルをN行ずつ分割するコマンドですね。
split
コマンドで確認せよということは後者の通りに実装する必要がありそうです。
ですが、リスト内包表記のn
とN
を入れ替えれば簡単に修正は可能ということにして、今回はとりあえずこのままということにします。
17. 1列目の文字列の異なり
問題
1列目の文字列の種類(異なる文字列の集合)を求めよ.確認にはsort, uniqコマンドを用いよ.
解答&出力
with open("hightemp.txt") as f: types = {line.strip().split()[0] for line in f} print(types)
{'和歌山県', '大阪府', '群馬県', '山形県', '埼玉県', '愛知県', '岐阜県', '千葉県', '静岡県', '愛媛県', '高知県', '山梨県'}
ひとこと
単純に、集合内包表記を使っているだけです。
18. 各行を3コラム目の数値の降順にソート
問題
各行を3コラム目の数値の逆順で整列せよ(注意: 各行の内容は変更せずに並び替えよ).確認にはsortコマンドを用いよ(この問題はコマンドで実行した時の結果と合わなくてもよい).
解答&出力
with open("hightemp.txt") as f: lines = [line.strip().split() for line in f] lines.sort(key=lambda x: float(x[2]), reverse=True) print("\n".join(["\t".join(line) for line in lines]))
18の実行結果
高知県 江川崎 41 2013-08-12 埼玉県 熊谷 40.9 2007-08-16 岐阜県 多治見 40.9 2007-08-16 山形県 山形 40.8 1933-07-25 山梨県 甲府 40.7 2013-08-10 和歌山県 かつらぎ 40.6 1994-08-08 静岡県 天竜 40.6 1994-08-04 山梨県 勝沼 40.5 2013-08-10 埼玉県 越谷 40.4 2007-08-16 群馬県 館林 40.3 2007-08-16 群馬県 上里見 40.3 1998-07-04 愛知県 愛西 40.3 1994-08-05 千葉県 牛久 40.2 2004-07-20 静岡県 佐久間 40.2 2001-07-24 愛媛県 宇和島 40.2 1927-07-22 山形県 酒田 40.1 1978-08-03 岐阜県 美濃 40 2007-08-16 群馬県 前橋 40 2001-07-24 千葉県 茂原 39.9 2013-08-11 埼玉県 鳩山 39.9 1997-07-05 大阪府 豊中 39.9 1994-08-08 山梨県 大月 39.9 1990-07-19 山形県 鶴岡 39.9 1978-08-03 愛知県 名古屋 39.9 1942-08-02
ひとこと
sort
メソッドの、key
で3カラム目を小数としてソート対象に指定し、reverse
で降順に指定して、全体をソートしています。
lambda式のfloat
がなくても今回の場合は同じ結果にはなりますが、気温が100度などの地域があった場合に文字列としてのソートになるので正しくない結果になってしまいます。
19. 各行の1コラム目の文字列の出現頻度を求め,出現頻度の高い順に並べる
問題
各行の1列目の文字列の出現頻度を求め,その高い順に並べて表示せよ.確認にはcut, uniq, sortコマンドを用いよ.
解答&出力
from collections import Counter with open("hightemp.txt") as f: lines = [line.strip().split()[0] for line in f] counter = Counter(lines) print(sorted(counter.items(), key=lambda x: x[1], reverse=True))
[('埼玉県', 3), ('山形県', 3), ('山梨県', 3), ('群馬県', 3), ('岐阜県', 2), ('静岡県', 2), ('愛知県', 2), ('千葉県', 2), ('高知県', 1), ('和歌山県', 1), ('愛媛県', 1), ('大阪府', 1)]
ひとこと
collections.Counter
を使えば簡単に出現頻度を求められます。
おわりに
Pythonは便利な機能が揃っているので、今回も特に難しいところはなく、さくさくと実装できました。
もしhightemp.txt
がとてつもなく大きなファイルだった場合には、メモリを大量に使ってしまう書き方をしている箇所もあります。
そのような条件の場合にどう書けばいいかも改めて考えられれば、よりスキルアップにつながる気がします。
続き
まだ